君は僕のもの 【続】
「ねぇどうしてなの?」
ヒョイッと後ろから顔を出してこっちを見ているのが鏡越しに見えるから、何だかハァ…っと心の中だけで溜め息を一つ。
それはそれは大きく重く深い溜め息。
喧嘩したわけじゃないし…違うもん、違うけど。さ?
「…別に、何も…ないもん」
ボソボソと口ごもるあたしはいつも通り。
「何か不機嫌?」
とお母さんはあたしの近くまで来て顔を覗きこんでくる。
やっぱりあたしのお母さんは周りのお母さんと比べると…きっとだいぶ精神年齢は低いのかも、しれない。
愉快?天然?…うーん、
やっぱりこのあたしの変わった性格もお母さん譲りなのかも…
そう思うと何か、
「…別にっ!!」
段々と増してくる苛々を抑えきれず無駄にちょっと声を荒げて言うとフンッと顔をお母さんから逸らして歩いていく。
ドタドタとワザとらしく音を立てる様に階段を上っていくあたしは、
本当に大人気ないし子供だな…なんておもったりするんだけど、仕方ないじゃん。
何か、…こういう気持ちになっちゃったんだからさ!!
「なに怒ってんのよ!」
後ろから聞こえるお母さんの不満声にまた再びフンッと息を吐きだした。