君は僕のもの 【続】
「……うん、まぁ…」
頷きたいのはやまやまだけど、だんだんとあたしとの距離を縮めていく樹に心臓はどんどん高鳴って、
何だか声が裏返ってしまいそうなギリギリまで追いやられる。
何だかんだでこういうのにはなかなか慣れない。
「手違いで、ちょっと汚れたからね…それだけ」
そう言うと、あたしの頬に再び触れた。
手を洗ったせいか…少しばかりその樹の手は冷んやりとしていて、無意識にもその冷えた樹の手の上に自分の手を重ねる様にして添えてみる。
ずっと部屋にいたあたしの手は、少なくとも温かいから。
少しぐらいなら、なんて思ったからかも、
「愛梨の手は子供みたい」
何だかその“子供”ってフレーズに過剰反応すると、そのまま手を離した。
「…子供じゃ、ないもん……」
でも樹は笑って、
「そっか」
と、相変わらず涼しい顔をしちゃってる。
やっぱり樹はズルイ。いっつも余裕な顔しちゃって…
同い年なのに、何か分からないけどいつも歳の差みたいな変な錯覚みたいなものを感じちゃう。
…大体っ!
この歳でここまで落ち着いてる方がおかしいんだ!!
そうだ、うん。そうだよ!!
なんてそんなことを考えていた時。
「…そうだ」