君は僕のもの 【続】
「もっと自信持てばいいのに」
髪を撫でながら優しくそう口にして、樹はいつもよりも柔らかく笑い掛けてくれた。
だからホッと身体が落ち着くような気がした。
まるであたしの心の中が読めちゃってるみたいに、
サラッと言うから…あたしの心も身体も、樹の分からないことなんて一つも無いんじゃないか。
そんなことまで感じさせちゃう。
「誰が何言っても、関係無いでしょう?そんなこと」
確かにそうだ。
何よりも樹は周りの目を気にして生きるようなタイプじゃ無い。
そう考えると、あたしと樹は対照的な感じなのかもしれない…なんて、思う。
「…うん」
肩を竦めて小さく返事を返す。
どんどん自分が情けなくって…恥ずかしくて、
だから子どもなんだよ。と自分に言い聞かせて見ると、やっぱり…何度も思うように情けない。
「それに…」
顎に手を添えて上にクイッと向かせられる。
その何か企みの有りそうな、…誰もが引き込まれてしまうんじゃないかってくらいの瞳であたしは一瞬にして樹の手の平の中。
逃れられない。
けど、逃れる気も無い。