君は僕のもの 【続】
そんなあたしを横目でチラリと見る人が一人。
「…な、何っ?」
美菜と自分を見比べていたのを見られたと思うと恥ずかしくって、ちょっとフテた言い方になる。
けど、当の言われた本人は何故か馬鹿にしたような笑みを浮かべて。
「色気より食い気?」
とサラリと爽やかに言ってくれた。
その嫌味に満ちているのに爽やかな彼の一言で美菜も翔太くんも笑いだす。
話を聞いてないと思ってたり見てないと思ってるとこれだもん。
「違うもん…っ!」
自分が笑われてる事にムッとしながらドーナツを齧る。
なのに樹は面白そうにそれを見てからコーヒー牛乳を飲むと、コンビニで買ったらしきおにぎりをパクッとくちに運んだ。
ちょっとその姿が可愛いな、なんて思ってから…ぶんぶん顔を横に振る。
「あ、そう言えば…愛ちゃん今日はどう過ごすのー??」
むしゃむしゃとご飯を食べながら翔太くんが言う。
「口、開くな」
それを見て嫌そうに樹は言う、多分この言葉の意味は“口に物が入ってるのに口を開くな”っていう意味だと思う。
翔太くんは慌てて口を手で覆うと、
「すまないすまないです…っと、で?」
「で?」
きっと翔太くんはあたしに聞いてたんだと思うけど…それに対して嫌味っぽく樹が聞き返す。
多分これも面倒臭いんだと思う。
いちいち長く喋るのが。