君は僕のもの 【続】
背筋に走った変な予感。
…いや、厳密に言えばそれは嫌な予感。もしくは嫌な気配。
「……くる」
「「へ?」」
突然の『くる』発言に出た咄嗟の声がダブって聞こえたから、ちょっと面白かった・
って。
今はそんな悠長なことを言っている暇は無い。
一刻も早くこの場から逃げなくては、ならない。…何故かは多分あと10秒くらいすれば誰にでも分かると思う。
ていうか分かる。
「先に戻る」
そう言って少し急ぎ気味で立ち上がると、それに対して馬鹿が無駄な反応をする。
「え?何で何で??」
「戻る」
「あっれ…?もしかして、もしかしちゃう感じ?」
勘の鋭い早川は少し表情を嫌そうな感じにしながら俺をチラリと見て、さりげなくそのまた後ろに視線を配った。
そして再び戻る視線が俺とぶつかれば、早川はますます嫌そうな表情をした。
瞬間、俺の嫌な予感というか気配は。
確かなものだったことがここで証明された訳で。
だけど本当ならもうここを立ち去っている筈だったのに予定というか俺のさりげない計画はこの時、無残にも崩れ去ってしまった訳で。