君は僕のもの 【続】
そのまま寝ている奴の隣に座ってジーッと寝顔を眺めて見る。
規則正しい寝息、…長い愛梨の睫毛は少し濡れていて、頬にはツーッと一つの細い線が通って見えて。
そんな愛梨の姿に少し胸が苦しくなった。
きっと怒ってフテくされてるだけだと思ってたけど…やっぱり傷つけたのかもしれない。
「……ごめんね。」
まだ少し名残のある目尻の雫にそっと指を伝わせる。
他の女が俺のせいで悲しんだり辛い思いをしたり傷付くならそんなのどうだっていい。…だけど、コイツだけは傷付けたくないのに。
俺はいっつも…泣かせてばっかだな、
しみじみ思うと、本当に俺は罪深い男かもしれない。
こんなに泣かせて傷付けて分かっているのに…皮肉混じりな冷たい態度しか取れない。
優しくしようって思っても実際どういうものが優しさなのかとか、考えるといまいちよく分からない気がする。
熱くなったり何かに没頭するようなタイプでもないし。
誰がどうなろうと関係無いって考えだし…
冷たいとか、自己中だとか、よく言われるけど。確かにそうなのかもしれない。
この先、愛梨を絶対に泣かせないとか、傷付けないとか。
そんな綺麗ごと。
俺は言えないし、出来もしないような事は簡単に口にする性格じゃないし。
でも例えこの先どんなにそんなことがあったとしても、それでも…
それでも俺は愛梨を手放せない。
だから本当に自分は、最悪なくらいに性格が悪いなって思う。