ピュアラブ
私は藤沢美和子。
18才、4月から古着屋さんに勤める事になった。
走ってリビングにいる母の元へ向かう。
「採用だって!採用!これで一人暮らしもOKだよね」
ニヤリと笑い、ピースサインで言った。
「あっ、そう。なら仕方ないねー。」
晩ごはんを作りながら母は言う。
私はずっと一人暮らしをしたいと言っていた。
しかし、仕事も決まっていない私に母はダメだと言った。
父はいない。
私が小さい頃に離婚をした。
私にはお姉ちゃんがいる、だけど父と住んでいる。
一度母に聞いた事がある。
父には会っていないし、顔すら覚えていない。
だからもちろん、姉の顔も覚えていない。
「そろそろ出勤の準備」
そう言うと、母は部屋に行った。
母は夜の世界で働いている。
16才で姉を産んだ母。
離婚してから、私にかかるお金を稼ぐにはこの職業が一番だと言った。
何だか凄く寂しそうな顔で。