わたし竜王の番(つがい)です ~気が付けば竜の国~
「ミーナ・アルカンと申します」
マルドネス様の姪御さんにあたる年の離れたお姉さまの娘さんだいう女性が来たのはそれから二日後のことだった。
そんなお嬢さまが来るとは聞いていない。
私とパメラは驚きのあまり顔を見合わせてしまった。
「アリアナ様の代わりに参りました。侍女ではない方がよろしいでしょう?」
ラズベリーレッドの綺麗な髪をハーフアップにしてピンク色のドレスを着た綺麗なお嬢さま。
白っぽくて不健康そうな私の肌とは対照的な健康的な肌色にくるんとカールした長いまつ毛。長い手足にめりはりのあるスタイル。
そしてその豊かな胸元には髪色に合わせた赤い宝石が燦々と輝いている。
さすがは竜の王族。
気品があって堂々としているし、身に着けている物も高そうだ。
適齢期に入ったばかりのお年でまだ番とは出会われていないそうで独身なのだとマルドネス様から聞いたことがあった。
見た目は18才前後に見える彼女だけど、適齢期に入ったばかりだと言うなら実年齢は50才くらいか?だとすると、実年齢24歳の私よりもダブルスコアで年上のお姫様である。
言葉遣いにも気を付けなければとさらに気を引き締める。
「はじめまして。秋月楓と申します。今日はご足労いただきありがとうございます」
「そういうのいらないわ、さっさと話をはじめましょ」
扇をちょいちょいっと振ってやめろと言わんばかりの態度に”あれ?”と思った。
パメラさんもミーナさんの態度にあからさまにイヤな顔をした。
「で、何をお聞きになりたいのかしら。衣装?心構えだったかしら?竜族の血が一滴も入ってない方は大変ね。ふふふ」
あからさまな上から目線の態度で内心ため息が出る。
ーー気が強そうな見た目そのままのご令嬢、どうやらめんどくさそうなのが来ちゃったらしい。