わたし竜王の番(つがい)です  ~気が付けば竜の国~
「番のお披露目は来月だったかしら。あなたは何もしなくていいわ。衣装も宝飾品もクリフォード様が準備して下さるはずよ」

閉じた扇で私を指差すようにして頭の先から足の先までついーっと視線を下ろしていく。
「だいたい、あなたが口を出したら品のないものを選びそうだし」と嘲りの表情を隠すことなくせせら笑った。

ミーナ様のあまりの態度にすぐ後ろに立つパメラさんが息をのむのがわかった。

私ってこの方からはずいぶんと嫌われているみたい。
でも、呼び出したのはこちらだし、その上相手は竜族のお姫様。話を聞かずにお帰り頂くのも失礼だろう。

「では婚礼の衣装のお支度もクリフ様にお任せしてよろしいのでしょか」

「なんですって?!」
それまでよりも更に棘のあるヒステリックな声でミーナ様が怒りを顕にした。

「あなた、たかが人間のくせにクリフ様などとクリフォード様をそんな風に呼んでいるの!なんて分別のないいやらしく浅ましい女なのかしら。人間のお前などたかが偶然の産物の番でしょう。図々しいにも程がある」

顔を歪め身を乗り出して次々と言葉をぶつけ始める。
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