わたし竜王の番(つがい)です  ~気が付けば竜の国~
「失礼ね、誰なの」

ーーー我は神鳥”ヴィー”。楓がひよこちゃんと呼ぶ者だ。---

「ひよこちゃんなの?!」

ひよこちゃんは直接心に言葉を送ってきているようで耳から音が入って来ているようではなく姿も見えない。

ーーーそうだ。楓のひよこちゃんだ。ーーー

神鳥がクスクスと笑っているような楽し気な声に変わる。

「ごめんなさい、神鳥に向かって失礼だったわ。おまけに命を助けてもらってまだきちんとお礼も言ってない」

ーーーいや、いい。命を救ったのは竜王で我はそれを少し援助しただけだ。ーーー

「でも、ありがとうございました。本当に助かりました。それとここに匿ってもらっていることも。神鳥には心から感謝しています」

ーーー我のことは”ヴィー”と呼べ。お前なら”ひよこちゃん”でも構わぬが。好きな方で呼べばいい、だが、神鳥はやめろ。ーーー

「いえ、その、えーっと。では”ヴィー”にします」

いやいやいや、神の使いに”ひよこちゃん”はまずいよね。

私も空気を読むことはできますので。
いくらそれがいつもいびきをかいたりお腹を出して寝ていた鳥だったとしても。
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