わたし竜王の番(つがい)です ~気が付けば竜の国~
それでももう痛みはほとんど痺れに変わっている。
おそらく疼痛を魔法で痺れに変えているだけなんだろうけど痛みよりずっとまし。
私がゆっくりとクリフ様の頭から背中に手を移動させ耳元で囁いた。
「大丈夫・・・。あなたの魔法が・・・効いてきたわ。さすが竜王ね」
クリフ様が大きく息を吐いた。
「ーー失礼します。クリフォード様」
護衛のラウルさんの声がドアの外から聞こえ、控えめに入ってきた。
「何だ」クリフ様が顔を上げると、彼はいつもの竜王の顔に戻っていた。
ただ彼は逃がさないとばかりに私の手をしっかりと握っている。
「これを」
ラウルさんの手に握られていたのはあのアリアナ様の侍女が持っていた凶器のナイフだった。
それを目にしたクリフ様の目が大きく開かれる。
「”竜殺しのナイフ”ではないか!」
「はい」ラルフさんが重々しく頷く。
「背後関係をしっかりと調べよ。で、その侍女はどうした」
「はい。捕えております。騒ぎを起こした者も全て生け捕りにしました。これから尋問いたします」
「頼んだ。私も後で行く」
ハッと敬礼した後、ラルフさんは私の方を見て少し笑顔を見せた。
「楓さま。わたくしたちの主人をお守りいただきありがとうございます。それとーーーお帰りなさいませ」
お帰りなさいませーーーか。
言われた言葉がとても気恥ずかしくてぎこちない笑顔を返すだけで精いっぱいだった。
おそらく疼痛を魔法で痺れに変えているだけなんだろうけど痛みよりずっとまし。
私がゆっくりとクリフ様の頭から背中に手を移動させ耳元で囁いた。
「大丈夫・・・。あなたの魔法が・・・効いてきたわ。さすが竜王ね」
クリフ様が大きく息を吐いた。
「ーー失礼します。クリフォード様」
護衛のラウルさんの声がドアの外から聞こえ、控えめに入ってきた。
「何だ」クリフ様が顔を上げると、彼はいつもの竜王の顔に戻っていた。
ただ彼は逃がさないとばかりに私の手をしっかりと握っている。
「これを」
ラウルさんの手に握られていたのはあのアリアナ様の侍女が持っていた凶器のナイフだった。
それを目にしたクリフ様の目が大きく開かれる。
「”竜殺しのナイフ”ではないか!」
「はい」ラルフさんが重々しく頷く。
「背後関係をしっかりと調べよ。で、その侍女はどうした」
「はい。捕えております。騒ぎを起こした者も全て生け捕りにしました。これから尋問いたします」
「頼んだ。私も後で行く」
ハッと敬礼した後、ラルフさんは私の方を見て少し笑顔を見せた。
「楓さま。わたくしたちの主人をお守りいただきありがとうございます。それとーーーお帰りなさいませ」
お帰りなさいませーーーか。
言われた言葉がとても気恥ずかしくてぎこちない笑顔を返すだけで精いっぱいだった。