わたし竜王の番(つがい)です  ~気が付けば竜の国~
ソファーに座る座らない、床に下りる下りないで揉めていたら笑い声がしていつの間にか部屋の中にクリフ様が入って来ていた。

「楓、おとなしくベッドにいる約束だろ?マルドネス、お前たちも楓の言うことを聞いてソファーに座れ。楓は強情だからな、話が進まん」

そう言って自分はベッドに腰かけて私を膝の上にひょいっと乗せた。

えええー、何、人前でこの恥ずかしい体勢は。顔も近いし。

恨みがましい目を向けると、整った顔が楽しそうに緩んでいく。
・・・言っても無駄だわね。

私たちの姿を見てお二人も渋々ながらソファーに腰を掛けた。
もちろんアリアナ様にはマルドネス様が手を貸していた。うん、やっぱり妊婦さんに無理をさせてはいけない。

「楓には簡単に事情は伝えてある。監督不行き届きと言えばそうだが、直接的にお前たちはどの件にも関与していないだろう。あまり大げさにすると楓が嫌がる。謝罪なら簡単にしてくれ」

クリフ様の言葉に私もこくこくと頷いた。

「しかし、ヤナーバルは楓を殺そうとしたし、妻の侍女は陛下を狙ったのだ。これはもうどんなに謝っても許される罪ではない」
マルドネス様が首を垂れる。

「でも、マルドネス様もマルドネス様のお姉さまもヤナーバル様の件に関与はなかったと」
私はクリフ様からそう聞いた。ヘストンさんや、ラウルさんからも。
< 158 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop