わたし竜王の番(つがい)です ~気が付けば竜の国~
シェリルさんと別れて人通りの少なくない歩道を地下鉄の駅に向かって歩いていると、ふわりと嗅いだことのない硬い香りがした。
何だろうと思って周りを見てもすれ違う人や同じ方向に歩く人はいても香りが香るほど近くを歩く人はいないし、こちらに注意を向けているような人物の姿もない。
だけど、確かに匂いがした。
植物由来のものではない。そう、どちらかというと動物由来のもののような。
しかも、警戒心を呼び起こさせるような危険な香りだったと思うのだ。
他人より嗅覚が優れているわけじゃないし、香水が好きというわけじゃないから香りの種類などは基礎知識しかないけれど、どうにも気になる匂いだった。
クリフォード様のものとは正反対。
クリフォード様の香りはお日さまのぬくもりと胸の奥やお腹の底の方を刺激してそわそわさせるような感覚を呼び覚ます複雑で甘いものだった。
今感じたこれは違う。
あれとこれが一体何なのかはわからないけれど、私の中で黄色信号が点滅し始める。
何だか嫌な予感がして地下鉄に乗ることを諦め、そのまま駅のロータリーからタクシーで帰宅することに決めた。
ーーータクシーに乗り込む私の姿を見つめる瞳に私が気付くことはなく。
何だろうと思って周りを見てもすれ違う人や同じ方向に歩く人はいても香りが香るほど近くを歩く人はいないし、こちらに注意を向けているような人物の姿もない。
だけど、確かに匂いがした。
植物由来のものではない。そう、どちらかというと動物由来のもののような。
しかも、警戒心を呼び起こさせるような危険な香りだったと思うのだ。
他人より嗅覚が優れているわけじゃないし、香水が好きというわけじゃないから香りの種類などは基礎知識しかないけれど、どうにも気になる匂いだった。
クリフォード様のものとは正反対。
クリフォード様の香りはお日さまのぬくもりと胸の奥やお腹の底の方を刺激してそわそわさせるような感覚を呼び覚ます複雑で甘いものだった。
今感じたこれは違う。
あれとこれが一体何なのかはわからないけれど、私の中で黄色信号が点滅し始める。
何だか嫌な予感がして地下鉄に乗ることを諦め、そのまま駅のロータリーからタクシーで帰宅することに決めた。
ーーータクシーに乗り込む私の姿を見つめる瞳に私が気付くことはなく。