わたし竜王の番(つがい)です  ~気が付けば竜の国~
鱗を左の鎖骨の少し下に当てると、クリフ様が手を当てて少し目を閉じた。
あの幸せな香りが強くなり、身体が温かくなる。次第に鱗が肌の中に沈むように密着したと思ったらもう肌の一部になっていた。

そうそう、この感じ、これだ。
私たちは視線を合わせて微笑み合った。


「クリフ様、外出の許可が下りたらまた一緒にブルーモーメントを見てくださいますか?」

「ああ、もちろんだ」

「早く楓の体調が戻るといいな」
「そうですね。あと一歩なんですけど」

なかなか回復しない自分の状態に私は深いため息をついた。
成人してから熱も出したことない丈夫な身体が自慢だったのに・・・。

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