わたし竜王の番(つがい)です ~気が付けば竜の国~
私は彼の顔をじっと見つめた。
「自分のせいで私の身体に傷をつけてしまった、申し訳ないーーーなんて思ってるのなら大間違いよ」
「いや、私のせいだ」
「違うわ。私が進んであの場に飛び込んだのよ。私の意思だし、むしろ名誉の負傷。
見えない背中の傷なんてどうでもいいのよ。大切なのはクリフ様の存在。何度も言わせないで」
私はブラウスを直すと、クリフ様の手を掴んで自分の鱗のある左胸に持って行った。
ね、とほほ笑みを送るとクリフ様の表情が穏やかなものに変わっていく。
「あらあら娘は嫁ぐ気満々みたいだし、どうする?お父さん。責任を取って竜王陛下にお嫁にもらってもらいましょうか?」
くすくすと母が笑い出し、父はまたへの字の口になってしまった。
そうだ、両親にクリフ様とのことを話さないといけないんだ。けれどその前にさっきの話を聞きたい。
「お父さん、お母さん、さっきの話だけど」
どうしてここに両親がいるのか、呪いとか紫の玉とか、聞きたいことはたくさんあってもう我慢ができない。