わたし竜王の番(つがい)です  ~気が付けば竜の国~
「歴代の竜王だけが”救国の旅人”に関することを知識としてを知っているんだ。だから、楓の口から”救国の旅人”の話を聞いてピンときた。直ぐに楓のご両親に連絡を取らねばと思ったよ。
”救国の旅人”の子どもならば女神の血が流れていて、楓の体調不良は魔女の呪いの可能性があるからね。先代の竜王からジョルジナ様の姉上のピュリラ様が魔女の呪いを解除する方法を編み出していたと聞いたことがあったし。
半信半疑だったけれど、王になるための教育を真面目に受けていて良かったと今は心から思うよ」

「それで両親の所に行ってくれたんですね。でも、クリフ様は異世界へも行けるだなんて知りませんでした」

「さすがに異世界へは私も転移魔法では行けない。この国の神殿の奥にある部屋から神官たちの手も借り魔法陣から転移魔法を使ってジャニアルス国の神社に移動した。楓のご両親は祖国との行き来に特殊な腕輪の力を使っているそうだけど、地上ならいいが、それだけではこの竜の国に移動することができないからね。楓のご両親にも魔法陣を使ってここに来てもらったんだよ」

そう言えば、両親は金色の鳥の羽のような模様の入った腕輪をしている。てっきりペアのアクセサリーをしているのだと思っていたけれど、どうやら違うらしい。
何もかも自分の知らないことばかりで驚きで小さく頷くのが精いっぱいだ。

「ーーーしかし、楓から”救国の旅人”の話を聞かなければ、魔女の呪いに気が付かずこのまま楓を失っていたかもしれないと思うと、今でも身体が震える。ーーー本当によかった」

私と目が合うとホッとした顔をするもののまだクリフ様の顔色はあまりよくない。
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