わたし竜王の番(つがい)です ~気が付けば竜の国~
歴史の授業では登場しないけれど神話として世界中の誰もが知っている”竜の国”
この世界の創生に関わりその後も戦乱を鎮め治安維持に大きな働きをしたと伝わっている。
竜族が統治するその国は他の幻獣族を従え神聖で強大な国だったらしいが、世界が平和になるとこの世の中からいつの間にか消えてしまったというのが私の知っている竜の国の伝説だ。
竜の国が今も存在していて、この方はその王様だというのか。
つまりはこの世で一番偉い人。
黙りこくった私の顔をクリフ様が覗き込む。
「楓、驚くのも無理はない。驚かせて申し訳なかった」
握られたままの私の手が持ち上げられ手の甲にクリフ様の唇が軽く触れる。
すると触れられた辺りがほのかに温かくなってきた。
それと同時に恐怖感が薄れ胸の鼓動もいつも通りになり落ち着いてくる。
「クリフ様に触れられると温かくなったり不思議な感覚がするのですが、これは竜族の方が持つ魔法ですか?」
手の甲から流れ込んでくる温もりに気持ちがよくなり現状を忘れてうっかり目を閉じそうになる。
「魔法、というものではない。触れた時に私が意図して楓に”竜王の気”を送っているんだ。他の者と違い楓は私の番だ。番が感じる”竜王の気”は特別なもの。与える”気”も違うが受け取る感覚も他のものとは全く違うのだろうな」
「りゅうおうのき・・・」
”竜王の気”
「何度か耳にしましたが”番”とは何でしょう?」
「”番”は私の唯一ということだ。魂の伴侶とでもいった方がわかりやすいか。竜の生涯で出会う番はただ一人。楓が私の番なのは間違いがないのだ」
「唯一ですか」
そうだ、とクリフ様が深く頷いた。
この世界の創生に関わりその後も戦乱を鎮め治安維持に大きな働きをしたと伝わっている。
竜族が統治するその国は他の幻獣族を従え神聖で強大な国だったらしいが、世界が平和になるとこの世の中からいつの間にか消えてしまったというのが私の知っている竜の国の伝説だ。
竜の国が今も存在していて、この方はその王様だというのか。
つまりはこの世で一番偉い人。
黙りこくった私の顔をクリフ様が覗き込む。
「楓、驚くのも無理はない。驚かせて申し訳なかった」
握られたままの私の手が持ち上げられ手の甲にクリフ様の唇が軽く触れる。
すると触れられた辺りがほのかに温かくなってきた。
それと同時に恐怖感が薄れ胸の鼓動もいつも通りになり落ち着いてくる。
「クリフ様に触れられると温かくなったり不思議な感覚がするのですが、これは竜族の方が持つ魔法ですか?」
手の甲から流れ込んでくる温もりに気持ちがよくなり現状を忘れてうっかり目を閉じそうになる。
「魔法、というものではない。触れた時に私が意図して楓に”竜王の気”を送っているんだ。他の者と違い楓は私の番だ。番が感じる”竜王の気”は特別なもの。与える”気”も違うが受け取る感覚も他のものとは全く違うのだろうな」
「りゅうおうのき・・・」
”竜王の気”
「何度か耳にしましたが”番”とは何でしょう?」
「”番”は私の唯一ということだ。魂の伴侶とでもいった方がわかりやすいか。竜の生涯で出会う番はただ一人。楓が私の番なのは間違いがないのだ」
「唯一ですか」
そうだ、とクリフ様が深く頷いた。