わたし竜王の番(つがい)です　 ～気が付けば竜の国～
「楓さま、お疲れではありませんか？」
「もしかして、それで声をかけて下さったんですか？」
「それだけではありませんわ。私たちも楓さまとお話がしたいのです。どうぞ、こちらへ。私たちに気遣いは不要ですので少しゆっくりとしてくださいませ」

心優しい気遣いの出来る侍女さまに連れられて女性のいるテーブルに着くと、華やかな声で歓待を受ける。

「お待ちしておりました、楓さま」
「ようこそ竜の国へ」

「秋月楓と申します。実はなぜ私がここに居るかを含めてまだあまりよくわかっていないのですが・・・よろしくお願いします」

彼女たちの好意的な態度はありがたいのだけど、自分とクリフ様の関係がまだよくわからない。

しかも、竜の国という世界で一番権威のある国の皆さんにどう接していいのかもよくわかっていないのだ。
なんだか申しわけなくて深々と頭を下げる。

「私たちは一通り事情を聞いておりますのでご安心くださいませ」
オリエッタさんがそう言うとそこにいた女性たちは心得ているとばかりに深く頷いた。
女性騎士のお二人とメイドのエメとネリー。侍女はオリエッタさんとパメラさん。

「楓さま、あまり食事をとられてないでしょう。あの男たちときたら本当に気の利かない」

「そうよ、勝手なんだから。どうぞ、ここでゆっくりとお召し上がりくださいませ」

「楓さま、こちらの魚のソテーはいかがです？野菜のテリーヌもお勧めですよ」

「アルコールはいかがですか？ノンアルコールもありますが、メリュジーヌ酒というこの国にしかない特別なお酒もございますよ」

「ぜひぜひ」と勧め上手な華やかな女性に囲まれてついつい料理だけでなくお酒にも手が伸びてしまう。

アルコールはもともと嫌いじゃないし。
ここに居る女子の皆さんお綺麗だし、可愛いし、やさしいし、楽しい。

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