わたし竜王の番(つがい)です　 ～気が付けば竜の国～
クリフ様の体調が心配だ。
できるだけ早く話がしたい。少しでもいいから。

他のメイドが私の朝食を準備してくれる。
この生活にだいぶ慣れてきてはいるけれど、１人で食事をすることに慣れたくないなと思う。

「楓さま。お待たせいたしました」

「どうだった？」
戻ってきたエメに食いつくように聞いてしまう。

「残念ながらクリフォード様はもう執務室にいらっしゃらなくて・・・。でも、側近の方のお話では夜はお戻りになると思うと言っておりました」

「もうお出かけに？」

「はい、そうみたいです。私も詳しいことは教えてもらえませんでしたが」

「そうなの・・・」

そうか。クリフ様はそんなに忙しくしているんだ。
今夜はお話することができるだろうか。夕飯の時間にここに戻って来てくれるだろうか。

「あの、楓さま」

「なあに？エメ」

「執務室にいらした側近の方がぜひ楓さまとお話がしたいと言っているのですが」

「私と？」

「はい、クリフォード様の現状についてお話したいと。どうやらかなりご無理をされているようなのです」

・・・やっぱり。
「わかりました。あちらのご都合を伺ってきてちょうだい。私の方はいつでもいいから」
早くお会いして話を伺った方が良いわねと再びエメにお使いを頼んだ。

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