紫陽花のブーケ
近所のスーパーで食べられそうな総菜パンをいくつか買ってマンションに着いた
会社を出た時に暗くなりだした空は、地元のスーパーを出た途端本降りの雨になり、帰宅した時には所々濡れてシミを作っていた
ベランダから洗濯物を取り込んだけど、こちらもひと足遅かった
――あ~あ、泣きっ面に何とかです、課長……
サッシを閉めてホッとした途端、雨で濡れた頬に涙が零れる
ずっと暗い気持ちを振り切れない
これから受けるであろう会社からの圧力とか、相手の影響力がどこまであるかは
不安はあるけど、大したことではない
そりゃチョットはビビるけど、私のモヤモヤの一番の理由はそんなことじゃない
社に戻る途中、声を潜めて夕香里が教えてくれたのは、
このお見合いを断れないもう一つの、もしかすると最大の要因
「お嬢さんと秋元課長、学生の時に付き合ってたんだって」
私も初めて聞いた、秋元課長の過去だった―――