紫陽花のブーケ

―――怖い

彼の本音を聞くのが

―――怖い

彼を傷つけるかもしれない今の自分が

―――怖い

二人の未来を想像することが

つい今朝方までは、キラキラした明るい将来を描けたのに

足元から地面が崩れて、グルグルと不安ばかりが降り積もり、どんどん埋まって苦しくなってくる


そしてふと、気づいた

もし妊娠していたとして、
そのことを誰も知らない今ならば

誰も傷つかない方法がひとつだけある

――あなただけは私と一緒に傷つくけれど


ねえ、お腹にいるかもしれない赤ちゃん
もしホントにいるなら、絶対産んでちゃんと育てるからね

けどお父さん(仮)には会わせてあげられない
お母さん(仮)、お父さんを守りたいの

―――ごめんね


考えただけで泣きそうになる
けど、まだ駄目

『動き出す前にあらゆる仮説を立て、
課題を成し遂げる準備と検証をして、事にあたれ』

課長の部下になって最初に言われたこと
それから何かある度に言われ続けていたことだ

これからどうすることが最善なのか
私は未来を決めるための仮説は立てた

ならば、検証のために行動あるのみ

まずは最重要事項の確認からだ


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