闇の果ては光となりて
そんな風にして、いくつかの交差点を渡り、野良猫の集団はルートを順調に進んでいた。
初めての暴走に、私のテンションはマックスになっていて、最後尾を付いてきてるであろう舞美さんの運転する車の事はいつの間にか気にならなくなっていた。
薄情だと言われても、こんなに楽しいんじゃ仕方ないよね。
「神楽、楽しいか?」
「うん。凄く楽しい」
総長に向けたのは、偽りの無い笑顔だったと思う。
「そうか。ならいい」
「野良猫のみんなが輝いてるね」
特攻服をはためかせて走る姿が、最高に格好いいよ。
「だろ? バイクで道を爆走すると生きてるって気分になれて、最高に気持ちいいぞ」
「総長も前はバイクに乗ってたの?」
「ああ。神楽も今度の暴走はバイクに乗ってみるか?」
「えっ? でも···」
みんな口を揃えて危ないからって、反対したじゃん。
「今回は襲撃があるかも知れねぇから反対したが、次なら問題ない」
「本当? 嬉しい」
総長の思いもよらない提案に、胸を踊らせた。
今度は誰かの後ろに乗せてもらって、参加できる。
「ただし、霧生の説得は自分でがんばれよ」
「えぇ〜」
それは難しそうだよ。
糠喜びに落胆し項垂れた時、それは突然鳴り響いた。
けたたましいサイレントと同時に、総長のスマホが着信を告げたんだ。
サイレンの音に後ろを振り返れば、車列の後方から現れた何台ものパトカーが見えた。
激しく赤い警戒色を点滅させながら、私達を追い掛けて来る。
一気に高まる緊張感。
スマホを耳に当てる総長の顔も険しい。
「プランBだ。俺達は予定通り、パトカーを巻いてそちらに向かう。ああ、お前達も気をつけろ」
通話を終了させた総長が、眉間にシワを寄せたまま私を見た。
「総長···」
嫌な鼓動を打つ胸を抑え総長を見つめる。
「神楽、敵襲だ。全方に正体不明の集団が現れた。俺達は今からプランBに移る」
「うん」
「この煩い警察の連中を撒いた後、予定通り途中でお前を降ろす。後を追ってくる光がお前を拾うまで身を隠しておけよ。なに、大丈夫だ。全て上手くいく」
不安に瞳を揺らしてた私を励ます様に、総長は私の頭を優しく撫でくれるかな。
「うん、総長達も気を付けてね」
「ああ。星野、猛スピードで後ろの煩い連中を撒け」
私の目を見てしっかりと頷いてくれた後、総長は運転席に声をかけた。
「飛ばします。何処かに掴まっておいてください」
運転席から聞こえた声に、私達はそれぞれドアの上の持ち手に捕まった。
運転手がアクセルを踏み込むと、エンジンは音を上げスピードを増した。
散り散りに逃走を開始した野良猫のメンバーが次々と道を開ける。
車の周囲を囲うように走っていたメンバー、後方から来るパトカーの進路妨害を開始した。
みんな無事で居て、激しく揺れる身体を必死に支えながら心の中で祈った。
初めての暴走に、私のテンションはマックスになっていて、最後尾を付いてきてるであろう舞美さんの運転する車の事はいつの間にか気にならなくなっていた。
薄情だと言われても、こんなに楽しいんじゃ仕方ないよね。
「神楽、楽しいか?」
「うん。凄く楽しい」
総長に向けたのは、偽りの無い笑顔だったと思う。
「そうか。ならいい」
「野良猫のみんなが輝いてるね」
特攻服をはためかせて走る姿が、最高に格好いいよ。
「だろ? バイクで道を爆走すると生きてるって気分になれて、最高に気持ちいいぞ」
「総長も前はバイクに乗ってたの?」
「ああ。神楽も今度の暴走はバイクに乗ってみるか?」
「えっ? でも···」
みんな口を揃えて危ないからって、反対したじゃん。
「今回は襲撃があるかも知れねぇから反対したが、次なら問題ない」
「本当? 嬉しい」
総長の思いもよらない提案に、胸を踊らせた。
今度は誰かの後ろに乗せてもらって、参加できる。
「ただし、霧生の説得は自分でがんばれよ」
「えぇ〜」
それは難しそうだよ。
糠喜びに落胆し項垂れた時、それは突然鳴り響いた。
けたたましいサイレントと同時に、総長のスマホが着信を告げたんだ。
サイレンの音に後ろを振り返れば、車列の後方から現れた何台ものパトカーが見えた。
激しく赤い警戒色を点滅させながら、私達を追い掛けて来る。
一気に高まる緊張感。
スマホを耳に当てる総長の顔も険しい。
「プランBだ。俺達は予定通り、パトカーを巻いてそちらに向かう。ああ、お前達も気をつけろ」
通話を終了させた総長が、眉間にシワを寄せたまま私を見た。
「総長···」
嫌な鼓動を打つ胸を抑え総長を見つめる。
「神楽、敵襲だ。全方に正体不明の集団が現れた。俺達は今からプランBに移る」
「うん」
「この煩い警察の連中を撒いた後、予定通り途中でお前を降ろす。後を追ってくる光がお前を拾うまで身を隠しておけよ。なに、大丈夫だ。全て上手くいく」
不安に瞳を揺らしてた私を励ます様に、総長は私の頭を優しく撫でくれるかな。
「うん、総長達も気を付けてね」
「ああ。星野、猛スピードで後ろの煩い連中を撒け」
私の目を見てしっかりと頷いてくれた後、総長は運転席に声をかけた。
「飛ばします。何処かに掴まっておいてください」
運転席から聞こえた声に、私達はそれぞれドアの上の持ち手に捕まった。
運転手がアクセルを踏み込むと、エンジンは音を上げスピードを増した。
散り散りに逃走を開始した野良猫のメンバーが次々と道を開ける。
車の周囲を囲うように走っていたメンバー、後方から来るパトカーの進路妨害を開始した。
みんな無事で居て、激しく揺れる身体を必死に支えながら心の中で祈った。