闇の果ては光となりて
やり切れない怒りに、握り締めた拳を地面に押し付けた。
そうでもしないと、今にも舞美さんを怒鳴り付けてしまいそうだったんだ。
「神楽ちゃん、泣かないで。もうすぐ全て終わるからね」
「うん」
「ほら、聞こえるでしょ?」
光がそう言うと、裏通りに爆音が響き渡った。
それは両方向から猛スピードでやって来る。
何かに気付いたらしい舞美さんとインテリ眼鏡が、焦りを露に慌てふためき動きそうとしたけれど、もうそれはもう遅かった。
次々と現れたバイクが彼女達を取り囲み停止していく。
一筋だけ空いた道を見つけた彼女達が掛けだろうとしたけれど、その場所に猛スピードで滑り込んで来たのは霧生を後ろに乗せたコウの運転するバイク。
キキキーッと激しいブレーキ音を鳴らし、コウはクラッチとブレーキを巧みに操り、バイクを彼女達の前に横付けて停止させた。
「き、霧生。無事だったのね」
青褪めさせながらも舞美さんは、霧生に向かって手を伸ばす。
霧生はタンデムから飛び降りると、舞美さんと距離を取り彼女を感情のない瞳で見据えた。
「舞美、そいつは誰だ?」
顎で舞美さんの隣のインテリ眼鏡を示した霧生。
「た、たまたま擦れ違った昔の知り合いよ。懐かしくて話をしてただけよ。ヤキモチなんて妬かなくても大丈夫よ」
何とも無理のある言い訳だね。
「へぇ、だったら、俺達を襲ってきたそいつの仲間は、どういう知り合いだ」
総長の声が響いて、野良猫のメンバーが道を開けると、そこから現れたのは1人の男を引き摺りながら歩いてくる総長の姿。
ひひぃ···総長、それ怖いよ。
その場にいた誰よりも悪役らしい総長に、ちょっとビビった。
「神楽ちゃん、僕達も行こう。役者が勢揃いしたみたいだからね」
光はにっこり笑って立ち上がると、私に手を差し伸べた。
「うん」
みんなが居てくれるから、もう怖くない。
私は光の手をしっかり握り締め立ち上がり歩き出す。
裏通りに響いた私達の足音に気付いた野良猫のメンバーが、口々に声を掛けてくれる。
みんなが一様に言うのは、「無事で良かった」って事。言葉
嬉しくなって、みんなに手を振り返しながら、霧生達の元へと向かった。
「神楽、無事だったか?」
霧生は私に駆け寄るとホッとした様に表情を緩めた。
「良い子にしてたみたいだな」
総長は、その人を離してから近寄ってきて欲しい。
血だらけでぐったりする人を引き摺るのは、止めた方がいいと思う。
「怪我してねぇか?」
「コウ、僕が付いてて怪我なんてあるわけ無いでしょう」
コウの言葉にいち早く反応したのは光。
いつものみんながそこに居て、ようやくホッと一息付けたような気がした。
そうでもしないと、今にも舞美さんを怒鳴り付けてしまいそうだったんだ。
「神楽ちゃん、泣かないで。もうすぐ全て終わるからね」
「うん」
「ほら、聞こえるでしょ?」
光がそう言うと、裏通りに爆音が響き渡った。
それは両方向から猛スピードでやって来る。
何かに気付いたらしい舞美さんとインテリ眼鏡が、焦りを露に慌てふためき動きそうとしたけれど、もうそれはもう遅かった。
次々と現れたバイクが彼女達を取り囲み停止していく。
一筋だけ空いた道を見つけた彼女達が掛けだろうとしたけれど、その場所に猛スピードで滑り込んで来たのは霧生を後ろに乗せたコウの運転するバイク。
キキキーッと激しいブレーキ音を鳴らし、コウはクラッチとブレーキを巧みに操り、バイクを彼女達の前に横付けて停止させた。
「き、霧生。無事だったのね」
青褪めさせながらも舞美さんは、霧生に向かって手を伸ばす。
霧生はタンデムから飛び降りると、舞美さんと距離を取り彼女を感情のない瞳で見据えた。
「舞美、そいつは誰だ?」
顎で舞美さんの隣のインテリ眼鏡を示した霧生。
「た、たまたま擦れ違った昔の知り合いよ。懐かしくて話をしてただけよ。ヤキモチなんて妬かなくても大丈夫よ」
何とも無理のある言い訳だね。
「へぇ、だったら、俺達を襲ってきたそいつの仲間は、どういう知り合いだ」
総長の声が響いて、野良猫のメンバーが道を開けると、そこから現れたのは1人の男を引き摺りながら歩いてくる総長の姿。
ひひぃ···総長、それ怖いよ。
その場にいた誰よりも悪役らしい総長に、ちょっとビビった。
「神楽ちゃん、僕達も行こう。役者が勢揃いしたみたいだからね」
光はにっこり笑って立ち上がると、私に手を差し伸べた。
「うん」
みんなが居てくれるから、もう怖くない。
私は光の手をしっかり握り締め立ち上がり歩き出す。
裏通りに響いた私達の足音に気付いた野良猫のメンバーが、口々に声を掛けてくれる。
みんなが一様に言うのは、「無事で良かった」って事。言葉
嬉しくなって、みんなに手を振り返しながら、霧生達の元へと向かった。
「神楽、無事だったか?」
霧生は私に駆け寄るとホッとした様に表情を緩めた。
「良い子にしてたみたいだな」
総長は、その人を離してから近寄ってきて欲しい。
血だらけでぐったりする人を引き摺るのは、止めた方がいいと思う。
「怪我してねぇか?」
「コウ、僕が付いてて怪我なんてあるわけ無いでしょう」
コウの言葉にいち早く反応したのは光。
いつものみんながそこに居て、ようやくホッと一息付けたような気がした。