闇の果ては光となりて
「大丈夫。私と郁人が上手くやるわ。だから貴方は神楽ちゃんだけを守ってなさいな」
「···チッ··分かったよ」
ぶっきらぼうに霧生が返事をした時、リビングに誰かが入ってくる足音が響いた。
「お前達は一体何をしてるんだ?」
怪訝そうにこちらを見るスーツ姿の男の人は、霧生が年を取ったような感じのイケオジで、彼の父親だと言うのが何となく分かった。
凄く霧生と、よく似てる。そんな感想が思い浮かぶ。
「郁人! お帰りなさい。良い所に帰ってきたわ」
瑠奈さんは、郁人さんを見るなり嬉しそうに駆け寄っていく。
呆気なく剥がれた温もりに、呆気にとられたのは仕方ないよね。
「···騒がしい母親でわりぃ」
霧生が眉を下げ、後頭部に手を当て肩を竦めた。
「ううん。凄く素敵なお母さんだよ」
本当に羨ましい。
彼女の温もりは、私が与えてもらった事の無かった母親の温もりそのものだったんだよ。
霧生と2人で、郁人さんに捲し立てるように話す瑠奈さんを見て微笑む。
瑠奈さんの勢いに押されながらも、彼女の話を真剣に聞く郁人さんの顔色が変わったのは、義父に襲われ逃げた私が霧生に拾われた辺りだったと思う。
ジロリと霧生を睨み付けた郁人さんに、寒気がしたのは彼が元暴走族だったからかな。
「このバカ息子、どうしてもっと早くに連れてこねぇんだよ」
理不尽な怒りを霧生にぶつけた郁人さんは、私の所へと駆け寄ってきた。
「ああ··仁と同じ目をしてるね。よく無事で居てくれた。本当に無事で···」
潤ませた瞳で懐かしそうに私を見つめる郁人さんは、腕を広げ抱き着こうとして、
「親父までさせるかよ」
霧生に阻まれた。
私を自分の腕の中に抱かえ込んだ霧生は、郁人さんを睨み付ける。
「仁の娘を俺が抱き締めて何が悪い?」
「こいつは俺のだ。触るんじゃねぇ」
「お前と結婚すれば、俺の娘になるだろうが」
「知るか、んな事」
「お前、ケツの穴が小さ過ぎんだよ」
「煩え、クソ親父」
「なんだと! 庭に出やがれ。性根を叩き直してやる」
なぜ、私を挟んで言い合いするかなぁ。
これって、どうしたらいいんだろう。
途方にくれていた私に救いの手は現れる。
「2人共、神楽ちゃんが困ってるわよ。いい加減になさいな」
霧生と郁人さんを叱りつけた瑠奈さんの顔は、すっかり呆れ顔だ。
「神楽、悪い」
「神楽ちゃんごめんな。おじさん、全然怖くないからね」
霧生と郁人さんがよく似た顔で、眉をへの字に曲げ謝ってくるから、笑いが込み上げた。
「フフフ···もう駄目。笑いを堪え切れないよ」
突然笑い出した私に、2人は目を丸め、そして直ぐに笑顔になった。
そんな所まで、そっくりなんだね。
DNAって凄いよね。
「···チッ··分かったよ」
ぶっきらぼうに霧生が返事をした時、リビングに誰かが入ってくる足音が響いた。
「お前達は一体何をしてるんだ?」
怪訝そうにこちらを見るスーツ姿の男の人は、霧生が年を取ったような感じのイケオジで、彼の父親だと言うのが何となく分かった。
凄く霧生と、よく似てる。そんな感想が思い浮かぶ。
「郁人! お帰りなさい。良い所に帰ってきたわ」
瑠奈さんは、郁人さんを見るなり嬉しそうに駆け寄っていく。
呆気なく剥がれた温もりに、呆気にとられたのは仕方ないよね。
「···騒がしい母親でわりぃ」
霧生が眉を下げ、後頭部に手を当て肩を竦めた。
「ううん。凄く素敵なお母さんだよ」
本当に羨ましい。
彼女の温もりは、私が与えてもらった事の無かった母親の温もりそのものだったんだよ。
霧生と2人で、郁人さんに捲し立てるように話す瑠奈さんを見て微笑む。
瑠奈さんの勢いに押されながらも、彼女の話を真剣に聞く郁人さんの顔色が変わったのは、義父に襲われ逃げた私が霧生に拾われた辺りだったと思う。
ジロリと霧生を睨み付けた郁人さんに、寒気がしたのは彼が元暴走族だったからかな。
「このバカ息子、どうしてもっと早くに連れてこねぇんだよ」
理不尽な怒りを霧生にぶつけた郁人さんは、私の所へと駆け寄ってきた。
「ああ··仁と同じ目をしてるね。よく無事で居てくれた。本当に無事で···」
潤ませた瞳で懐かしそうに私を見つめる郁人さんは、腕を広げ抱き着こうとして、
「親父までさせるかよ」
霧生に阻まれた。
私を自分の腕の中に抱かえ込んだ霧生は、郁人さんを睨み付ける。
「仁の娘を俺が抱き締めて何が悪い?」
「こいつは俺のだ。触るんじゃねぇ」
「お前と結婚すれば、俺の娘になるだろうが」
「知るか、んな事」
「お前、ケツの穴が小さ過ぎんだよ」
「煩え、クソ親父」
「なんだと! 庭に出やがれ。性根を叩き直してやる」
なぜ、私を挟んで言い合いするかなぁ。
これって、どうしたらいいんだろう。
途方にくれていた私に救いの手は現れる。
「2人共、神楽ちゃんが困ってるわよ。いい加減になさいな」
霧生と郁人さんを叱りつけた瑠奈さんの顔は、すっかり呆れ顔だ。
「神楽、悪い」
「神楽ちゃんごめんな。おじさん、全然怖くないからね」
霧生と郁人さんがよく似た顔で、眉をへの字に曲げ謝ってくるから、笑いが込み上げた。
「フフフ···もう駄目。笑いを堪え切れないよ」
突然笑い出した私に、2人は目を丸め、そして直ぐに笑顔になった。
そんな所まで、そっくりなんだね。
DNAって凄いよね。