闇の果ては光となりて
「相変わらずだな、あいつら」
私と同じ様に2人の背中を見つめていた樹弥がクククと笑う。
「幸せそうでなによりだわ」
神楽が幸せなら、本当にそれだけでいいと思うの。
あの子は今まで、苦労してきたんだもの。
それが報われているのなら、いい。
「霧生は、誰よりも神楽を幸せにする。そりゃ、先の長い人生、互いにぶつかり合う事もあるかも知れねぇ。それでも、霧生は神楽の手を離したりしねぇよ」
「そうね。神楽もきっと同じよ」
あの2人は、なんだかんだ言っても深い所で繋がってる気がするのよね。
「あいつらは、ずっと一緒にいて欲しいな」
「ええ、本当に」
しみじみとした樹弥の呟きに、私は素直に頷いた。
「俺達もそろそろ行くか」
「そうね」
こっちをジロジロと見るギャラリーも増えてきた事だし、そろそろ移動した方が良さそうだわ。
どちらからともなく歩き出す。
「樹弥、俺と光は霧生達追いかけるわ」
「そうそう。2人だけラブラブとかずるいもんねぇ」
西森と松坂は意地悪い顔でそう言うと、私達を追い越し校庭へと向かって走り去る。
「お前ら適当にしとけよ。あんましつこく構ってると、本気で霧生がキレるからな」
2人の背中にそう声を投げかける樹弥は、どこか楽しそうだ。
お〜! と振り返らない2人から聞こえたので、一応忠告は受け取ったみたいね。
馬鹿なことしなきゃいいけど、そんな事を思いながら、私は足を進めた。
「霜月は、何か見たいものあるか?」
「何があるのか分からないから、一先ず見て回ろうかしら」
「そうだな」
「東高の文化祭は結構本格的なのね」
通りに並ぶ屋台を見ながらそう言う。
「ああ。OBとかが、屋台や道具なんかを貸し出してくれるから、結構本格的だな」
「へ〜ここのOBは積極的なのね」
「昔ヤンチャしてた連中が社会に出て真面目にやってるからか、結束力もあるし、面倒見のいい連中が多い」
そう聞くと不良も捨てたものじゃないわね。
うちなんて、OBが関わってる事となんてほとんど無いもの。
進学校なだけに、その辺は希薄なのかしらね。
「そう。いい事ね」
「ああ。俺達も先輩達を見習わねぇとな」
ゆるりと口角を上げた樹弥。
「フフフ、そうね。あ、あれは何かしら?」
不意に視界に入って来たそれに、目を止める。
小ぶりな背の高い赤いテント。
神秘的な装いのそれに、少しそそられた。
「ああ。あれは占いの館だな。クラスの女達がかなり本格的だと騒いでた気がする」
「へぇ、少し面白そうね」
占いを信じる方じゃ無いけれど、ちょっとした余興によさそうだわ。
「入ってみるか?」
顔を覗き込まれ、
「いいわね」
と微笑んだ。
私と同じ様に2人の背中を見つめていた樹弥がクククと笑う。
「幸せそうでなによりだわ」
神楽が幸せなら、本当にそれだけでいいと思うの。
あの子は今まで、苦労してきたんだもの。
それが報われているのなら、いい。
「霧生は、誰よりも神楽を幸せにする。そりゃ、先の長い人生、互いにぶつかり合う事もあるかも知れねぇ。それでも、霧生は神楽の手を離したりしねぇよ」
「そうね。神楽もきっと同じよ」
あの2人は、なんだかんだ言っても深い所で繋がってる気がするのよね。
「あいつらは、ずっと一緒にいて欲しいな」
「ええ、本当に」
しみじみとした樹弥の呟きに、私は素直に頷いた。
「俺達もそろそろ行くか」
「そうね」
こっちをジロジロと見るギャラリーも増えてきた事だし、そろそろ移動した方が良さそうだわ。
どちらからともなく歩き出す。
「樹弥、俺と光は霧生達追いかけるわ」
「そうそう。2人だけラブラブとかずるいもんねぇ」
西森と松坂は意地悪い顔でそう言うと、私達を追い越し校庭へと向かって走り去る。
「お前ら適当にしとけよ。あんましつこく構ってると、本気で霧生がキレるからな」
2人の背中にそう声を投げかける樹弥は、どこか楽しそうだ。
お〜! と振り返らない2人から聞こえたので、一応忠告は受け取ったみたいね。
馬鹿なことしなきゃいいけど、そんな事を思いながら、私は足を進めた。
「霜月は、何か見たいものあるか?」
「何があるのか分からないから、一先ず見て回ろうかしら」
「そうだな」
「東高の文化祭は結構本格的なのね」
通りに並ぶ屋台を見ながらそう言う。
「ああ。OBとかが、屋台や道具なんかを貸し出してくれるから、結構本格的だな」
「へ〜ここのOBは積極的なのね」
「昔ヤンチャしてた連中が社会に出て真面目にやってるからか、結束力もあるし、面倒見のいい連中が多い」
そう聞くと不良も捨てたものじゃないわね。
うちなんて、OBが関わってる事となんてほとんど無いもの。
進学校なだけに、その辺は希薄なのかしらね。
「そう。いい事ね」
「ああ。俺達も先輩達を見習わねぇとな」
ゆるりと口角を上げた樹弥。
「フフフ、そうね。あ、あれは何かしら?」
不意に視界に入って来たそれに、目を止める。
小ぶりな背の高い赤いテント。
神秘的な装いのそれに、少しそそられた。
「ああ。あれは占いの館だな。クラスの女達がかなり本格的だと騒いでた気がする」
「へぇ、少し面白そうね」
占いを信じる方じゃ無いけれど、ちょっとした余興によさそうだわ。
「入ってみるか?」
顔を覗き込まれ、
「いいわね」
と微笑んだ。