闇の果ては光となりて
テントの中に居るコウと、テントの前にいる私で見つめ合う。
もちろん、そこにあるのは気まずさ。
この状況、どうするの?
本当、無理。
いたたまれない空気が漂う中、先に口を開いたのはコウ。
「座れば?」
素っ気ない口調のそれに、
「あ、うん。そうだね」
と返し、コウの座るソファーと対面に置かれたソファーに腰を下ろした。
少しでも距離がある方がいいと思って座ったものの、目線が合うその場所は選択ミスだった。
「···」
「···」
「···」
「···」
いたたまれない、無言の続くこの空間。
俯いてやり過ごすしかない。
「···あ〜···その、なんだ、何も知らねぇのに酷い事を言って···悪かった」
途切れ途切れに絞り出すように言ったコウ。
「えっ?」
顔を上げコウを見れば、バツが悪そうな顔でこちらを見ていて。
「べ、別に総長に言われたからだとか、お前の事情を知って同情したから···じゃねぇからな」
頬の赤いコウ見て、これはツンデレなのかなと思った。
謝ってくれてるらしいコウに、肩の力が抜けた。
「あ、うん。私こそ、酷い事を言ってごめん」
売り言葉に買い言葉で言い返しちゃったしね。
「ああ···。お前も色々と苦労してんだな。あ···まぁ、お前は安い媚を売ってる女とは違うみたいだし。べ、別に仲良くしてやらなくもねぇ」
「ツンデレか!」
我慢できなくて思わず突っ込んだ。
「はぁ? ツンデレじゃねぇわ」
「いやいや、ツンとしてデレたよね。今」
「馬鹿じゃねぇの?」
「人に馬鹿って言う方が馬鹿なんです」
「やっぱお前可愛くねぇ」
「可愛さを見せてないし」
「···なんだこの無駄な言い合い」
我に返ったらしいコウはフッと笑う。
「確かに無駄だね」
笑って頷いたら、なんだか蟠りみたいなのが無くなってた。
コウを嫌だとは、もう思わない。
「お前って小さいのに度胸あるよな。俺みたいなのに突っかかってくるし」
「小さいは余計だけど。度胸があるって言うより気が強いだけかな」
「確かに気は強いな。女で俺と言い合いできる奴はそういねぇわ」
「コウって、女嫌いなんだよね」
「ああ。俺の7つ上の兄貴が惚れた女に騙され、身ぐるみ剥がれて死んじまったんだよ」
コウはさらっと言ったけど、中々ヘビーな内容だった。
お兄さん、亡くなったんだね。
「お前がそんな辛そうな顔する必要はねぇよ。うちの兄貴が人を見抜けねぇ馬鹿だっただけだ」
そう言ったコウの方が辛い顔してるじゃん。
「騙した女が馬鹿なんだよ。お兄さんは全てを捧げられるぐらいに、心の底から好きになっただけだもん」
「···っ、ありがとうな」
「ううん。本当にそう思うから」
「兄貴の奴、何もかも女に持ち逃げされてやけ酒して、階段から落ちて死んだんだぜ、間抜けだよな」
「···」
「しかも、病院に運ばれて意識が無くなる瞬間まで女の事心配してて···本当、馬鹿だよなぁ」
コウの最後の馬鹿って言葉には、お兄さんへの愛情が沢山含まれていた様な気がした。
もちろん、そこにあるのは気まずさ。
この状況、どうするの?
本当、無理。
いたたまれない空気が漂う中、先に口を開いたのはコウ。
「座れば?」
素っ気ない口調のそれに、
「あ、うん。そうだね」
と返し、コウの座るソファーと対面に置かれたソファーに腰を下ろした。
少しでも距離がある方がいいと思って座ったものの、目線が合うその場所は選択ミスだった。
「···」
「···」
「···」
「···」
いたたまれない、無言の続くこの空間。
俯いてやり過ごすしかない。
「···あ〜···その、なんだ、何も知らねぇのに酷い事を言って···悪かった」
途切れ途切れに絞り出すように言ったコウ。
「えっ?」
顔を上げコウを見れば、バツが悪そうな顔でこちらを見ていて。
「べ、別に総長に言われたからだとか、お前の事情を知って同情したから···じゃねぇからな」
頬の赤いコウ見て、これはツンデレなのかなと思った。
謝ってくれてるらしいコウに、肩の力が抜けた。
「あ、うん。私こそ、酷い事を言ってごめん」
売り言葉に買い言葉で言い返しちゃったしね。
「ああ···。お前も色々と苦労してんだな。あ···まぁ、お前は安い媚を売ってる女とは違うみたいだし。べ、別に仲良くしてやらなくもねぇ」
「ツンデレか!」
我慢できなくて思わず突っ込んだ。
「はぁ? ツンデレじゃねぇわ」
「いやいや、ツンとしてデレたよね。今」
「馬鹿じゃねぇの?」
「人に馬鹿って言う方が馬鹿なんです」
「やっぱお前可愛くねぇ」
「可愛さを見せてないし」
「···なんだこの無駄な言い合い」
我に返ったらしいコウはフッと笑う。
「確かに無駄だね」
笑って頷いたら、なんだか蟠りみたいなのが無くなってた。
コウを嫌だとは、もう思わない。
「お前って小さいのに度胸あるよな。俺みたいなのに突っかかってくるし」
「小さいは余計だけど。度胸があるって言うより気が強いだけかな」
「確かに気は強いな。女で俺と言い合いできる奴はそういねぇわ」
「コウって、女嫌いなんだよね」
「ああ。俺の7つ上の兄貴が惚れた女に騙され、身ぐるみ剥がれて死んじまったんだよ」
コウはさらっと言ったけど、中々ヘビーな内容だった。
お兄さん、亡くなったんだね。
「お前がそんな辛そうな顔する必要はねぇよ。うちの兄貴が人を見抜けねぇ馬鹿だっただけだ」
そう言ったコウの方が辛い顔してるじゃん。
「騙した女が馬鹿なんだよ。お兄さんは全てを捧げられるぐらいに、心の底から好きになっただけだもん」
「···っ、ありがとうな」
「ううん。本当にそう思うから」
「兄貴の奴、何もかも女に持ち逃げされてやけ酒して、階段から落ちて死んだんだぜ、間抜けだよな」
「···」
「しかも、病院に運ばれて意識が無くなる瞬間まで女の事心配してて···本当、馬鹿だよなぁ」
コウの最後の馬鹿って言葉には、お兄さんへの愛情が沢山含まれていた様な気がした。