闇の果ては光となりて
「私は恋をした事が無いから、盲信的に人を好きになってしまった気持ちは分からないけど。でも、コウがお兄さんの事で女嫌いになってしまったのは悲しんでると思うよ」
お兄さんだって、大事な弟に悪い影響を与えるつもりなんて無かっただろうしね。
「···」
「そりゃあさ。野良猫のネームバリューやコウの見た目だけしか見てない子も居ると思うけど、全部が全部そうじゃないよ。私みたいな風変わりなのも居るしね。女だからって、毛嫌いする前にその子を一度よく見てみたら?」
「確かにお前は風変わりだな」
そこに食いつかないでよ。
でも、コウの表情が穏やかになったから、良しとしてあげるよ。
「お節介な事を言っちゃったけど、コウはコウのペースで頑張って」
「おい。いきなり丸投げしてきたな! そこは一緒に頑張ろうよ、じゃねぇのか」
「そんなの嫌だよ。面倒臭いし」
「はぁ? お前面倒臭いって···ククク、お前面白過ぎだな」
大きな口を開け大笑いを始めたコウ。
いや、本気で面倒なんだってば。
それより、さっきからお前って呼んでるけど、私の名前忘れた訳じゃないよね。
「ねぇ? 私の名前、神楽なんだけど」
「はぁ···分かってるし」
「だったら、お前じゃなくて名前で呼んでよね」
「はいはい、分かりました。神楽、これでいいだろ」
「良く出来ました。じゃあ、カレー取りに行こう」
お腹空いたし、そろそろ食べたい。
「光が取りに行っただろうが」
「自分の分は自分で、だよ」
さぁ行くよ、と立ち上がり私は歩き出す。
「面倒臭せぇ」
そう言いながらも立ち上がったコウは後ろをついてくる。
昨日は、コノヤロウ! って思うぐらいムカついたけど、今は仲直りできて良かったと思う。
私には私の、コウはコウの事情がある。
お互いに何処かで歩み寄って、仲良く慣れたらそれに越した事はないよね。
ブロロロー···不意に聞こえた車の重低音。
なんだろうと立ち止まり振り返る。
「チッ···」
隣を歩くコウから嫌悪の混じった舌打ちが聞こえてきた。
どうしたのかな? と思いながら溜まり場近くに停車した赤いスポーツカーを見ていると、助手席のドアが開いた。
そこから現れたのは見覚えのある銀色の髪。
霧生···ドキッと胸が跳ねたのはどうしてかな。
「あのバカ···神楽、行こうぜ」
コウが急に焦った様に私の腕を引っ張った。
「えっ?」
困惑したままコウに連れられ歩きだしたけれど、後ろが気になり振り返る。
そこに見えたのは運転席に回った霧生が、全開に開けた窓から顔を出した美女にキスをするシーンだった。
お兄さんだって、大事な弟に悪い影響を与えるつもりなんて無かっただろうしね。
「···」
「そりゃあさ。野良猫のネームバリューやコウの見た目だけしか見てない子も居ると思うけど、全部が全部そうじゃないよ。私みたいな風変わりなのも居るしね。女だからって、毛嫌いする前にその子を一度よく見てみたら?」
「確かにお前は風変わりだな」
そこに食いつかないでよ。
でも、コウの表情が穏やかになったから、良しとしてあげるよ。
「お節介な事を言っちゃったけど、コウはコウのペースで頑張って」
「おい。いきなり丸投げしてきたな! そこは一緒に頑張ろうよ、じゃねぇのか」
「そんなの嫌だよ。面倒臭いし」
「はぁ? お前面倒臭いって···ククク、お前面白過ぎだな」
大きな口を開け大笑いを始めたコウ。
いや、本気で面倒なんだってば。
それより、さっきからお前って呼んでるけど、私の名前忘れた訳じゃないよね。
「ねぇ? 私の名前、神楽なんだけど」
「はぁ···分かってるし」
「だったら、お前じゃなくて名前で呼んでよね」
「はいはい、分かりました。神楽、これでいいだろ」
「良く出来ました。じゃあ、カレー取りに行こう」
お腹空いたし、そろそろ食べたい。
「光が取りに行っただろうが」
「自分の分は自分で、だよ」
さぁ行くよ、と立ち上がり私は歩き出す。
「面倒臭せぇ」
そう言いながらも立ち上がったコウは後ろをついてくる。
昨日は、コノヤロウ! って思うぐらいムカついたけど、今は仲直りできて良かったと思う。
私には私の、コウはコウの事情がある。
お互いに何処かで歩み寄って、仲良く慣れたらそれに越した事はないよね。
ブロロロー···不意に聞こえた車の重低音。
なんだろうと立ち止まり振り返る。
「チッ···」
隣を歩くコウから嫌悪の混じった舌打ちが聞こえてきた。
どうしたのかな? と思いながら溜まり場近くに停車した赤いスポーツカーを見ていると、助手席のドアが開いた。
そこから現れたのは見覚えのある銀色の髪。
霧生···ドキッと胸が跳ねたのはどうしてかな。
「あのバカ···神楽、行こうぜ」
コウが急に焦った様に私の腕を引っ張った。
「えっ?」
困惑したままコウに連れられ歩きだしたけれど、後ろが気になり振り返る。
そこに見えたのは運転席に回った霧生が、全開に開けた窓から顔を出した美女にキスをするシーンだった。