闇の果ては光となりて
またまた私は起きたら自室にいた。
霧生と幹部室で話をしてたはずなのにだ。
途中で寝ちゃったのは···認めよう。
2階の自室まで運ばれるのに起きないって、どういう事よ、これ。
前に総長に運んで貰った時は、間違ってアルコールを飲んじゃったから眠りが深かったのは分かるけど、今回は飲んでないのにも関わらず起きなかったなんて。
失態だ···本当、とんでもなく失態だよね。

舞美さんの芝居に騙されて、霧生と距離を取らないといけないって苦しんでた気持ちが、開放された事で安心したんだろうな。
ずっと不安だったんだよね、あの日から。
霧生を諦めなきゃって思えば思うほど、好きな気持ちが溢れてきた。
側に居ると苦しいから逃げ回って、馬鹿な事をやっちゃってた。
まぁ、霧生から逃げられたためしなんて無かったんだけどねぇ。

全てが終わったら···気持ち伝えてみようかな。
霧生も、少なからず思っててくれる様な気がするし。
チーム内での恋愛とかありなのかな? 今度総長に聞いてみよう。
うん、そうしよう。

今はとにかく現実と向き合わなきゃ。
気持ちを切り替えベッドから起き上がる。
学校に行かなきゃね。
恋は恋、現実は現実として生きいくよ。
昨日の夜、霧生に運ばれた恥ずかしさを一先ず横に起き、私は着替えを持ってお風呂に向かうのだった。




「おはよ、ツッキー」
総長車で送ってもらった私は車を降りてすぐに、校門の所で待ってくれた彼女に駆け寄った。
ちなみに、霧生は朝寝坊で顔は見てない。
どんな顔して会えばいいのか分からなかったから、ちょうど良かったんだけどね。
「おはよう、神楽。今日は顔色良いじゃない」
長い前髪をかき揚げた意味深に笑ったツッキー。
「うん。昨日色々あって。ツッキーにも話を聞いて欲しいの」
「ええ、いいわよ」
怒られるの覚悟でツッキーに報告するって決めてるんだよね。
彼女にも沢山心配を掛けちゃったから。
「ありがとう、ツッキー」
「何よ、改まってお礼だなんて。ほら、教室行くわよ」
背を向け歩き出したツッキーを追いかけ、彼女に追い付くと彼女の横を同じスピードで歩いた。
気持ちが軽いと足取りも軽いや。

私、親には恵まれなかったけど、友達や仲間には恵まれてるよね。
もしもタイムマシーンが有ったら、独りぼっちで怯えて暮らしてた幼い頃の私に言ってあげたい。
今を乗り越えれば、明るい未来が待ってるって事を。
そうしたら、絶望にも強い心で立ち向かえただろうと思うから。
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