闇の果ては光となりて
「神楽の親友は度胸のある奴だな」
「うん。自慢の親友だよ」
隣に座る総長に笑顔で返す。
「心配して来てくれた彼女の為にも今日で終わらせねぇとな」
「うん」
舞美さんが何を仕掛けてくるのか分からないけれど、はれがどんな事でも負けない。
膝の上に乗せた両手を握り締めた。
「出発するか」
総長がそう言うと運転席に座る人が、後部座席の窓を開けた。
「神楽、気張っていくぞ」
バイクを横付けしたコウがニカッと笑う。
「神楽ちゃん、僕の走り見ててね」
コウの後ろで、自慢の黄色いカワサキCB400Fourに乗った光が愛らしく微笑んだ。
小柄な彼に大きすぎるはずのバイクなのに、しっかりとそれを乗りこなす姿は様になっていた。
「気合入れて行くぞ!」
総長が窓から腕を出し、大きく振り下ろすと、大きな歓声が上がる。
「「「「「うぉぉ〜!」」」」」
先頭から次々と唸りを上げスタートしていくバイク。
「コウも光も運転気を付けてね」
2人に笑ってそう伝えれば、笑顔で手を上げゆっくりと車から離れ、動き始めた集団へと合流していった。
私達を乗せた車も、多くのバイクに守られるようにしてスピードを上げ始める。
私が窓から首を引っ込めたのを確認すると、運転席の人は静かに窓を閉めてくれた。
多くのライトの光が、闇夜を照らし一筋の道を作っていく。
時折上がる爆音がまるで音楽を奏でているようだった。
楽しいと身体全体で表現しながら走る野良猫のメンバーに、私の胸は自然と高鳴った。
ドキドキとワクワクが奥底から込み上げてくる。
統一の取れた光の道が、街道をスピードを上げ駆け抜けていく。
街中に入ると、沿道に群がるギャラリーが、それを見て楽しげに囃し立てた。
一気に高鳴った熱気が、野良猫の集団へと向かう。
それを合図に暴走は最高潮へと向かっていく。
大きな交差点に差し掛かると、一台のバイクが猛スピードで車の行き交う交差点内へと突っ込んだ。
危ない! 抑えきれない恐怖が込み上げた。
「コウ!」
正面を見据えたまま、前のめりに彼の名を呼んだ私の肩を総長が叩く。
「心配ねぇ。落ち着いて見てろ」
「えっ···」
交差点に入ったコウが不敵な笑みを浮かべ、大きな円を描く様に交差点内をゆっくりと回り始めた。
鳴り響くクラクション、進路妨害する一台のバイクに車は次々に停車していく。
コウに少し遅れて侵入したのは周防君のバイク。
彼のタンデムに乗る男の子が、野良猫の大きな旗を持ちひらひらとたなびかせていた。
コウ達が両端に分かれ、車を堰き止めると野良猫の車列がスピードを落とす事なく交差点へと次々と突入していった。
そこにあるのは絶大な信頼と安心。
みんな、コウ達が止めた車を一台たりとも交差に侵入させないと信じてるんだ。
「な? 大丈夫だったろ」
「うん、大丈夫だったね」
コウって、凄いね。
本当、凄い度胸だよ。
自然と笑顔に戻った私は、交差点を通り過ぎる瞬間、コウに手を振った。
フルスモークの窓から私が見えたかは分からないけれど、コウが笑ってくれた様な気がした。
「うん。自慢の親友だよ」
隣に座る総長に笑顔で返す。
「心配して来てくれた彼女の為にも今日で終わらせねぇとな」
「うん」
舞美さんが何を仕掛けてくるのか分からないけれど、はれがどんな事でも負けない。
膝の上に乗せた両手を握り締めた。
「出発するか」
総長がそう言うと運転席に座る人が、後部座席の窓を開けた。
「神楽、気張っていくぞ」
バイクを横付けしたコウがニカッと笑う。
「神楽ちゃん、僕の走り見ててね」
コウの後ろで、自慢の黄色いカワサキCB400Fourに乗った光が愛らしく微笑んだ。
小柄な彼に大きすぎるはずのバイクなのに、しっかりとそれを乗りこなす姿は様になっていた。
「気合入れて行くぞ!」
総長が窓から腕を出し、大きく振り下ろすと、大きな歓声が上がる。
「「「「「うぉぉ〜!」」」」」
先頭から次々と唸りを上げスタートしていくバイク。
「コウも光も運転気を付けてね」
2人に笑ってそう伝えれば、笑顔で手を上げゆっくりと車から離れ、動き始めた集団へと合流していった。
私達を乗せた車も、多くのバイクに守られるようにしてスピードを上げ始める。
私が窓から首を引っ込めたのを確認すると、運転席の人は静かに窓を閉めてくれた。
多くのライトの光が、闇夜を照らし一筋の道を作っていく。
時折上がる爆音がまるで音楽を奏でているようだった。
楽しいと身体全体で表現しながら走る野良猫のメンバーに、私の胸は自然と高鳴った。
ドキドキとワクワクが奥底から込み上げてくる。
統一の取れた光の道が、街道をスピードを上げ駆け抜けていく。
街中に入ると、沿道に群がるギャラリーが、それを見て楽しげに囃し立てた。
一気に高鳴った熱気が、野良猫の集団へと向かう。
それを合図に暴走は最高潮へと向かっていく。
大きな交差点に差し掛かると、一台のバイクが猛スピードで車の行き交う交差点内へと突っ込んだ。
危ない! 抑えきれない恐怖が込み上げた。
「コウ!」
正面を見据えたまま、前のめりに彼の名を呼んだ私の肩を総長が叩く。
「心配ねぇ。落ち着いて見てろ」
「えっ···」
交差点に入ったコウが不敵な笑みを浮かべ、大きな円を描く様に交差点内をゆっくりと回り始めた。
鳴り響くクラクション、進路妨害する一台のバイクに車は次々に停車していく。
コウに少し遅れて侵入したのは周防君のバイク。
彼のタンデムに乗る男の子が、野良猫の大きな旗を持ちひらひらとたなびかせていた。
コウ達が両端に分かれ、車を堰き止めると野良猫の車列がスピードを落とす事なく交差点へと次々と突入していった。
そこにあるのは絶大な信頼と安心。
みんな、コウ達が止めた車を一台たりとも交差に侵入させないと信じてるんだ。
「な? 大丈夫だったろ」
「うん、大丈夫だったね」
コウって、凄いね。
本当、凄い度胸だよ。
自然と笑顔に戻った私は、交差点を通り過ぎる瞬間、コウに手を振った。
フルスモークの窓から私が見えたかは分からないけれど、コウが笑ってくれた様な気がした。