シンデレラは真夜中に踊る

「まあ、そうだよね」

北斗は、雫もこんなことを話しているのかということを考えていた。雫は黙っていれば美人なのだから、誰かから誘われていたはずだ。北斗はこれもからかいなのか、と不安を感じる。

「お〜い、何ボーッとしてんだよ」

友達が北斗の顔を覗き込む。

「あっ、ごめん」

北斗は謝るが、友達は北斗の顔を覗き込むのをやめない。

「お前、そういえばパーティー誰と行くんだよ。お前から何にも聞いてないぞ」

北斗は、友達に「パーティーに行く」とは言っていたがそれ以上のことは話していなかった。雫は一年生でも話題になるほどの美人な先輩だ。めんどくさい展開になりかねないからだ。

「誰と行くんだよ〜！！」

そう言う友達に、「ちょっとトイレ！」と言って北斗は逃げた。



パーティー当日、学校はまるで違う世界のような雰囲気になっている。

学校にあるモミの木はきれいに飾られ、パーティー会場には豪華な料理が並べられていた。軽やかな音楽が北斗の耳に入ってくる。