シンデレラは真夜中に踊る

雫は北斗の姿に驚く様子もなく踊り続ける。北斗も黙ってそれを見続けていた。

しばらくすると曲が終わり、雫は最後のポーズを決めて止まる。北斗はパチパチと拍手を送った。

「先輩、ダンスの練習ってこんなとこでしてたんですね」

北斗がそう言うと、雫はいつものようにいたずらっ子のように笑いながら口を開く。

「you would be fuckin crazy！」

北斗はさっきまで雫が踊っていた曲だとすぐにわかった。

「君は全くどうしようもない馬鹿になるだろうってひどくないですか？」

北斗が苦笑すると、「一騎当千！かっこいい曲だよ！」と雫は笑う。

「北斗くんは何しにここに来たの？今、雪は降ってないけど寒いことに変わりはないよ」

「星を見に来たんですよ」

雫の質問に北斗は素直に答える。その目は、もう夜空を見上げていた。美しい星が、北斗の両目に映る。

「冬って星が一年で一番きれいに見えるんでしょ？」

気がつけば、北斗のすぐ隣に雫は立っていた。北斗の心臓が、一瞬トクンと音を立てる。