シンデレラは真夜中に踊る
行動が幼いため子供のように雫は見られるが、その顔はとても整っている。黒く艶やかな長い黒髪と白い肌が、北斗の間近にある。

「そうですね。秋から冬にかけて季節風が上空のちりやほこりを吹き散らすんです。だから、空気が澄んでよく星が見えるんですよ」

「へえ〜…。それは知らなかったなぁ」

トン、と北斗の腕に温かいものが触れる。雫が北斗の腕に自分の腕を絡ませているのだ。

「…何してるんですか?」

北斗は空を見上げながら言う。今は、いろいろな意味で夜空から目を離すことができない。

「今はさ、二人きりの世界ってやつだよね」

えへへ、とかわいらしく雫は笑いながら言った。

「今誰かが私たちを見たらさ、恋人同士だってすぐ思うと思うよ」

いつものように雫は北斗をからかう。何度、こんな風に北斗は雫にからかわれて同じように意地悪なことを言っただろうか。

四月、北斗が入学してから雫からからかわれてきた。それが何故なのかは北斗にはわからないが。
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