シンデレラは真夜中に踊る
北斗がそう言うと、雫は「…そっか」と少し安心したように微笑む。

北斗は,屋上の柵の上に手を置いている。その手の上に、小さな手が重なった。

「私と一緒に踊ってくれない?」

それは、からかいなどではない雫の言葉だった。



パーティーまでの日々は、今までと何も変わらない日々だった。

「わあっ!!オバケ〜!!」

白い布を頭からかぶった雫が、北斗を驚かそうとする。

「…何やってるんですか」

北斗は呆れながら布を外す。そこには少し不機嫌そうな雫の顔があった。

「もう!もうちょっと反応してよ〜!」

「あはは。先輩のいたずらはかわいいですよ」

こんな日が続いていた。

パーティーが近づくにつれて、女子生徒はどんなドレスを着るのか話したりするようになった。誰とパーティーに行くのか、どんな風に踊ればいいのか、そんな会話ばかりが飛び交う。

「なんか、男子より女子の方が盛り上がってたりするよな」

北斗の友達がパンを口に入れながら言う。教室では、女子が固まってパーティーのことを話していた。
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