相思相愛ですがなにか?
1.計画的政略結婚のすすめ
南城家の歴史を簡単に言い表すとすれば、それは“波乱万丈”の一言に尽きる。
明治維新により藩主としての地位を失った南城家が、新政府から賜った要職を辞し、ビジネスの世界に飛び込んだのは、ほんの150年ほど前のことである。
南城家と言えば今でこそ日本経済の一角を担う名家として名高いが、当時はまだ無名に近く、何のノウハウも持たなかった南城家の当主が、悪質な詐欺に遭い、一文無しになったのは無理もない話である。
しかし、ここからが南城家の本当の盛運の始まりだった。
藩主時代の蓄えも底も付き、このまま没落華族として家名を終えるかと誰もが思ったその時、二束三文の価値しかなかった所有山林から金が採れることが分かったのだ。
その後、南城家は時代が移り変わる度に様々な危機に陥るが、その都度不屈の精神と持ち前の度胸で不死鳥のごとく蘇り、いまや押しも押されぬ大財閥となった。
そんな南城家の第二子として生を受けた私――南城月子が考えなしに多少の無茶をやらかすのは当然と言えば当然のことだろう。
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