相思相愛ですがなにか?

「……マジで?」

私はお兄ちゃんの顔が綻んでいるのを確認するとニヤリと唇の端を上げた。

餌に食いついたと確信を得たら、あとは一本釣りの要領で竿を思い切り振り上げるだけだ。

「段取りしてくれるよね?」

お兄ちゃんはしまったと言わんばかりに小さく舌打ちをしたが、次の瞬間には頭をサッと切り替え、交渉体制に入っていた。

「……断られても責任持たないからな」

「ありがとう!!お兄ちゃん!!」

快諾してくれた愛すべき兄の首にしっかと抱きつき、私は心の底からお礼を言った。

こんなこともあろうかと奥の手を準備しておいてよかった。

ほーんと、持つべきものはアラブのプリンスよね?

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