相思相愛ですがなにか?
**********
その夜、私は伊織さんの部屋の大きなベッドの端に腰かけて、所在なさげに髪を手櫛で梳かしていた。
お風呂で汗を流し、ネグリジェ風のナイトウェアに着替えた私は、やや緊張気味に枕の位置を横目で確認した。
同じベッドで寝るということは“何が”あってもおかしくないということだ。
ひょっとして、ひょっとすると、今宵、初めての夜を迎えるということも考えられる。
こんなこともあろうかと、荷物の中に勝負下着を忍ばせておいて本当に良かった。
さあ、どんとこい!!
「月子ちゃん?」
背後から名前を呼ばれて、心臓がドクンと跳ね上がる。
ゆっくり振り返ると伊織さんは上半身には何も着用せず、たくましい胸板を惜しげもなくさらした状態で、髪をタオルで拭いていた。
……水を滴る良い男過ぎて、直視できない。
早くパジャマを着て欲しいと心の中で願っていると、髪を乾かし終えた伊織さんが上半身もパジャマで覆ってしまい、それはそれで残念な気持ちになる。