相思相愛ですがなにか?

(……あ、まずい)

非常にまずいことになった。

冷たいシャワーどころか、今度は氷水を頭からかぶった方が良いかもしれない。

「伊織さんはしてくださらないの?」

促されるようにして彼女のすべすべの頬にキスを返す。

本当は頬といわず、今すぐネグリジェを剥ぎ取って、身体の隅々まであますところなくキスがしたい。

ああ、ダメだ。

こんなことを考えている時点で、理性が欲望に負けている。

こんな状態で一緒のベッドで寝たら、獣のように襲いかかってしまうかもしれない。

もはや目に毒としか思えないベッドから離れるために早々に回れ右する。

「まだおやすみにならないんですか?」

「ごめんね。まだ仕事が残っているんだ」

本当は持ち帰ってきた仕事などないけれど、適当な理由をつけて月子ちゃんを遠ざける。

その夜、俺はベッドでは眠らず、カウチソファで一夜を明かしたのだった。

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