相思相愛ですがなにか?

「……重いでしょう?」

自分でもドン引きするぐらい重い。

だから普通に伊織さんにアプローチできなかったのよ。

頼んでもないのにあなたのためにずっと処女を守っていましたなんて、普通の男性なら重すぎて逃げたくなる。

まあ、婚約してしまった以上、私が処女だって分かっても伊織さんは逃げられないんだけど。

「どうしたの?」

全然反応のない雫ちゃんに心配になって声を掛けると、我に返った雫ちゃんがハンカチで額の大汗を拭った。

「いやあ……伊織くんってすごい人と婚約しちゃったんだなって思って……」

すごいというのがどういう意味なのかは、自身の名誉のためにも聞かないでおこう。

「その執念……恋心があればきっと伊織くんも振り向いてくれますよ!!」

「そうかしら……?」

「はい!!」

なにが心の琴線に触れたのかは分からなかったが雫ちゃんに太鼓判を押されて、私は失いかけていた自信を取り戻すことが出来たのだった。

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