相思相愛ですがなにか?
「あ、ありがとう……」
俺に褒められ照れているのか、月子ちゃんの頬がほのかに赤く染まった。
ステージの上では私を見てと言わんばかりに自信満々に歩いていたのに、ステージを下りればこんなにも可愛らしい仕草で俺を魅了する。
……ギャップにやられてしまいそうだ。
「この後何もなければ食事して帰らないかい?例のレストランじゃないけど」
今すぐキスしたいという下心を隠し首の後ろを掻きながら、食事に誘う。
「行く!!行くわ!!すぐ支度するわね」
「外で待っているから、ゆっくり支度しておいで」
俺は控室から出ると宣言通りショーの会場の外で月子ちゃんの支度が終わるのを待つことにした。
しかし、控室を出て30分ほど経ち空が暗くなり始めても、支度を終えた月子ちゃんが現れる気配がない。
(まだかな……)
俺がどこにいるのかと探しているのかもしれないと、携帯を手に取り連絡しようとしたその時だ。
「久し振りだね、伊織くん」
「泉……?」
久方振りに懐かしい女性に遭遇したのだった。