相思相愛ですがなにか?

「どうせくだらねー用件だろ?帰る」

「待ってよっ!!まだ話は終わってないの!!」

ここで帰してなるものかとクルリと踵を返すお兄ちゃんの背中に抱き着いて、車に乗り込もうとするのを阻止する。

「あの中に伊織さんが女の人と一緒にいるのよ!!」

「なんだよ、それを先に言えよ」

肝心な部分を伝えると、お兄ちゃんはコロリと態度を変え、先ほどとは打って変わってご機嫌になってバーの店長を呼び出し、店の中に入る手はずを整えたのだった。

うっきうきでお店の中に乗り込んでいくお兄ちゃんに、私は頬を引きつらせ本気で幻滅していた。

……この男、明らかに修羅場を期待している。

私は心の中で伊織さんに訴えかけた。

伊織さーん……。

妹の私が言うのもアレですが、この人クズでーす。

お兄ちゃんとは友達辞めた方が良いと思いまーす。

私の思いが通じてお兄ちゃんが絶交されるかどうかは乞うご期待である。

< 163 / 237 >

この作品をシェア

pagetop