相思相愛ですがなにか?

「あのう……伊織さん……」

私にはもう何が何やら……わかりません。

これは一体……どういう状況なの?

伊織さんは二人の行方をさして気にした様子もなく、お兄ちゃんの言った通り私に状況を説明してくれたのだった。

「彼女は俺と冬季緒の大学生の頃からの友人で……泉新菜っていうんだ」

恋人ではなく……友人……?

伊織さんからはっきりと友人の二文字を頂いて、私はつまらないようなホッとしたような気分になった

そういえば、最初から今日は友人と食事すると言っていたような……。

え、じゃあ……全部私の早とちりってこと!?

「月子ちゃん」

浮気ではないと安心したのも束の間、伊織さんの声色で私には更なるピンチが訪れようとしているのがわかった。

……ああ、まずい。

「君はどうして冬季緒とこんなところにいたのかな?」

普段は菩薩よりも心の広い伊織さんの眉毛はこれでもかと吊り上がっていて、今にも般若の形相になりそうだった。

「伊織さん……」

お手柔らかにお願いします……ね……?

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