相思相愛ですがなにか?

「ルーは仕事だ」

私に目くじらを立てられたアスキムは、弁解するようにルーが不在の理由を明かす。

「仕事ですって!?」

私はこの傲慢王子を野放しにしているルーにすぐさま電話を掛けたのだった。

「ハイ、月子」

「ルー!!なんでカリウスにいるのよ!!」

面倒事を押し付けられ思わず、恋人を見張るのはあなたの役目でしょうと、非難がましくなる。

「ごめんね、月子。どうしても仕事の都合がつかなくて……」

ルーが本当に残念そうに言うものだから、それ以上怒る気が失せてしまう。

カリウス王国で教師としてあくせく働くルーは、自由気ままな王族のアスキムと違ってそう簡単に日本に行くことはできないのだ。

「じゃあ、なんで止めてくれなかったの?」

「私も一応止めたのよ?でも、あなたの婚約者に会いに行くって聞かなくて」

「月子は俺の妹のようなものだからな」

本人そっちのけでルーと会話を続けていることに疎外感を感じたのか、アスキムがルーと私の電話に無理やり割り込んできた。

(なにが妹よ……!!)

兄は冬季緒ひとりで十分よ。面倒くさい兄はふたりもいらない。

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