相思相愛ですがなにか?
その後、ふたりは私のことなどそっちのけでカリウス王国の政治経済の話や、互いが手掛けている事業の話で大いに話に花を咲かせた。
私にはイマイチ小難しくてわからない、教育制度仕組みの良し悪しなどにも言及し、アスキムと伊織さんは嬉々として議論を酌み交わしている。
一向に興味をそそられない会話に欠伸を我慢するのもそろそろ限界かと思われたころ、アスキムと伊織さんの会談は終始穏やかな雰囲気のまま幕を下ろしたのだった。
「日本滞在中に困ったことがありましたら、いつでも連絡してください」
「ああ」
再び固い握手を交わし、別れの挨拶を交わす二人を見て、私はホッと胸を撫でおろした。
伊織さんは無事アスキムのお眼鏡にかなったようだ。
まあ、いくらアスキムでも初対面の伊織さんに喧嘩を売るなんて無礼なことはしないわよね。