相思相愛ですがなにか?
(さて、どうする?)
冬季緒にとってこの土地がとんでもない掘り出し物なのは言うまでもない。
もちろん、土地の売却に関しては社内承認、法的手続きはすべて済んでいる。
あとは価格交渉の上、判を押すだけの状態にしてある。
うんと頷けば温泉は冬季緒のものだ。
冬季緒は権利書と俺の顔を交互に見比べると、やがて諦めたようにふうっと息を吐いた。
「ニューヨーク生活のおかげで随分と根性が座ってきたんじゃないのか?」
「褒め言葉として受け取っておく」
冬季緒は水割りのグラスをすっかり空にすると、権利書の中身が本物かどうか一枚一枚確認し始めた。
やがて、すべての書類に目を通し終わると、土地購入に同意すると誓約書にサインをした。
「月子には俺から話しておく」
「ありがとう。恩に着る」
俺は満面の笑みで冬季緒に礼を言ったのだった。
ほーんと、持つべきものは友人だな?