相思相愛ですがなにか?

ホテルから屋敷へと戻る最中、俺は心ここにあらずの状態で、窓から見える等間隔に並んだ高速道路の照明の数を数えていた。

カリウス王国では王族が外国人と結婚することは許されていない。

つまり、月子ちゃんとアスキム王子はどれだけ想い合っていても決して結ばれることのない運命なのである。

月子ちゃんにとって結婚の相手は誰でも良かったのだ。

アスキム王子以外は誰でも同じだったのだ。

……俺でなくとも。

結婚を先延ばしにしたいと申し出たのは、アスキム王子と寄りを戻すためなのかと思うと、ギリギリと歯ぎしりが止まらなくなる。

……今すぐに彼女に真相を確かめなければならない。

< 197 / 237 >

この作品をシェア

pagetop