相思相愛ですがなにか?

(綺麗だな……)

淀みなく泳いでいる姿がひどく眩しく、俺はつい見惚れてしまった。

水面から浮き出た背中、長く伸びた脚と手が水を力強く掻く様はまるで人魚のようだった。

「お疲れ様」

この日のノルマを達成し手すりに掴まってプールから出ようとする月子ちゃんに手を差し出す。

「ありがとう」

礼を言って俺の手を掴む月子ちゃんの水着姿に鼻の下を伸ばして油断していたのがいけなかったのか。

浮力に逆らうようにして彼女を引き上げるつもりが、不意を突かれて逆に水面に引きずり込まれる。

「うわっ!!」

間抜けな叫び声とともに、ボチャンと大きな水しぶきが舞った。

バランスを崩した俺は月子ちゃんの狙い通りにプールに落とされ、俺は頭から水を被ったのだった。

「あははっ!!濡れている伊織さんもとっても素敵!!」

全身びしょ濡れの濡れネズミになった姿を見て、無邪気に笑う彼女を非難する気は毛頭ないが、悪戯を仕掛け彼女にちょっとした仕返しをするくらいは許されるだろう。

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