相思相愛ですがなにか?
「お兄ちゃん、このラクダこのままここで飼うの?」
私はふと疑問に思って、ラクダの涎を頭に受けまだ呻いていたお兄ちゃんに尋ねた。
「いいや。時期がきたら、然るべきところに移動させる予定だ」
「どこに?」
「今、作ってる途中だ」
「はあ?」
「だから、ラクダに乗れる温泉旅館を作ってる最中だって言ってるんだ」
これが冗談でもなく大真面目に言っているのだから、余計に理解に苦しむ。
ますます訳がわからない……。
「お兄ちゃんって……バカなの……?」
それとも、お兄ちゃんに聞いた私がバカだったのか。
お兄ちゃんの突拍子のない珍妙な行動に、私はひたすら頭を抱えるしかなかった。
「もうっ!!真面目にやってよ!!これだから南城家は手当たり次第に事業に手を出しては失敗する節操なしって言われるのよ!!」
「俺はいつでも大真面目だろ?」
「人の話を聞きなさい!!」