相思相愛ですがなにか?
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「本当に景色が良いな」
アスキムは展望台の大きな窓から街を見下ろし、眩しそうに目を細めた。
アスキムが来日してからというもの日本観光に付き合わされていた私は、街が良く見える場所に行ってみたいというアスキムの希望を叶えるために、この国で一番高い電波塔に案内した。
アスキムは地平線の向こう側まで家屋とビルが並ぶ眼下の景色をどう思っているのだろう。
カリウス王国では一部の都市を除けば広大な砂漠とオアシスが景色のすべてであり、こんな巨大な電波塔はおろか高層ビルすらない。
日本から遠く離れた地で手を取り合って生きるルーとアスキム、ふたりのことが知りたくなる。
「ねえ、アスキム」
「なんだ?」
「愛する人と相思相愛になるってどんな感じ?」
「どうした藪から棒に」
「茶化さないで答えてよ」
この場にルーにがいたら絶対に聞けないであろう質問にアスキムは少し悩みながらも、真摯に自分の気持ちを述べたのだった。
「俺は数ある女性の中からルーを選び、彼女は数ある男性の中から俺を選んだ。これを奇跡と言わずして何と言おう。そうだな。ルーに愛されていると思えば思うほど、俺は狂おしいほどにルーを求めてしまう。彼女は俺の魂の伴侶だからな」
アスキムが臆面もなく言うものだから、尋ねたこちらの方がかえって照れてしまう。