相思相愛ですがなにか?
3.相思相愛になるまで

「ねえ月ちゃん、本当に伊織くんと結婚するつもり?」

パパが心配そうに尋ねてきたのは、前菜の帆立貝のタルタルを食べ終わり次のお皿が運ばれてくる最中のことであった。

パパから一緒にお昼を食べに行こうと誘われたのは今朝のことだった。

南城家の屋敷からほど近いパパ御用達のカジュアルフレンチのお店は、味も良く、隠れ家のような親しみ深い雰囲気が居心地よく私も気に入っている。

長年の懸案事項も解決し、清々しい気分でご飯が食べられると思っていたのに、見当違いだったようだ。

代替わりを済ませ南城家のすべての実権をお兄ちゃんに譲って以来、普段は朝から趣味のゴルフに出かけるパパから昼食に誘われるなんて珍しいから、何かあるのかと勘ぐっていたが、どうやら結婚の話がしたかったらしい。

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