相思相愛ですがなにか?

私は握っていたナイフとフォークをお皿に置いて、口元をナプキンで拭った。

「何にも心配いらないわ、パパ」

……だってパパのお望み通り、好きな相手と結婚するのだから。

パパの心配をよそに明るく答えると、安心させるようににっこりと微笑む。

「私、絶対幸せになるわ」

そう言ってウインクすると、けなげな娘のセリフにパパは堪えきれず涙目になるのだった。

「月ちゃんがお嫁に行ったら寂しくなるなあ……」

「嫌だわ、パパったら。何か月も先のことじゃない。今からそんな調子でどうするの?」

これからデザートがやってくるというのに、塩辛くなってしまうじゃない。

大丈夫。

何も心配いらないわ。

結婚さえしてしまえばこちらのもの。

私はふっふっふっと黒い笑みを浮かべ、デザートのイチゴのアイスクリームを平らげたのだった。

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